セントノア病院

こころのこもった医療と介護を実践し、患者様の「安全の場」づくりに全力で取り組んでいます。
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  • 2017年7月1日 『スマートドラッグ』

    私(昭和18年生まれ)がいたずら盛りの子供の頃、いたずらや悪さをして近所のおばさんやおじさんに叱られたとき、最後に言われたのがこの言葉でした。『やっちゃいけないって何度言ったら分かるの!まったく!馬鹿につける薬はないのかね!』。

    いいえ、今はあるんです。馬鹿につける薬が…。

    そんな薬が『スマートドラッグ』、いわゆる『スマドラ』です。1990年代に「頭がよくなる」「記憶力が向上する」などと本の中で紹介され、その後、米国で爆発的に流行した薬です。

    もちろんこういう事にはとても慎重な日本ですから、その「有効性」や「安全性」が確認されていないとして未だに承認しておりませんし、日本では製造もされていません。

    ところがこの『スマドラ』が今、中高生の間で密かに流行、蔓延しているというのですから驚きです。

    集中力を高め、なお且つ思考力や記憶力を高め、しかも中高生でも安易に買える値段(個人輸入)となれば、それこそ一石三鳥どころか四鳥ですから、日々勉強に追われる中高生には、神様の贈り物にも思えるのかもしれません。

    この『スマドラ』、脳の機能に作用し、思考力や記憶力にもかかわるアセチルコリンを増大させる効力があるそうで、「てんかん」や「認知症」の治療薬にも使われているそうです。

    つまり、他の病気に使用されている薬の一部分の効力を利用しているとも言えるのです。

    そんな『スマドラ』の規制にやっと厚労省が乗り出しました。先月22日に開かれた同省の部会で、健康被害や乱用に繋がる恐れのある医薬品が個人輸入され、出回っている可能性があるとの報告を受け、危険性の高い薬の個人輸入を原則禁止するということを確認したというのです。

    『スマドラ』の国内に出回っている種類や健康被害の実態は、正確にはまだ分かっていないそうですが、健康な若者らが勉強や仕事の効率を上げたい、と本来の目的からは外れて使うケースがある、と問題視されたわけです。この日の部会で同省は輸入されている薬をインターネットなどで調べ、医学界や同団体から意見を聞くと説明、健康被害や依存症につながる恐れがある場合には医師の処方箋や指示がなければ個人輸入を認めないという方針を示しました。

    どんな薬であれ副作用のない薬は一つもないのが医療界の常識ですが、この『スマドラ』の副作用については、使用した一部の高校生から「集中力や思考力が高まる」や「眠気が来ない」との意見もある一方で「薬が切れるとイライラする」などの、まるで覚せい剤使用者みたいな感想も聞かれるといいますから本当に怖いです。

    若者よ、勉強や仕事の効率を上げるために安易な方法を取ってはいけません。勉強をすること、仕事をすることに人生の意義があるのですから。

     

      常務理事・事務局長 瓦井 洋

  • 2017年6月1日 『医療とマイナンバー』

    日本に住むすべての人に12桁の番号をふり、社会保障や税金、医療などに関する国と自治体のサービス向上に生かそうと始まった『マイナンバー』制度。この制度が始まって早や一年半にもなります。

    が、その後、ほとんど音沙汰がありません。私が知る限りですが、この制度(マイナンバー)が使用されているといった話は一度も聞いたことがありません。いったいどうなっているのでしょう。

    そもそもこのマイナンバー制度、本を正せば「医療の無駄を省き、患者さんの利便性を高め、大災害などの非常時に病院や診療所が困らないようにする社会基盤として設計されたもの」なのだそうです。

    6年前の東日本大震災では、津波で多くの病院や診療所が被害にあいました。その被害で患者さんの診療録や処方箋が紛失し、その後の適切な医療が受けられなかった高齢患者が多くいたそうです。

    そんな災害時でもこのマイナンバー制度があれば、その番号から電子カルテが検索(日本中の病院・診療所が電子カルテを採用する必要がありますが)でき、過去の診療実績や使用薬剤などもすぐに知ることができます。医師や看護師もそのカルテをもとに遅滞なく対処ができ、さらにレセプト(診療報酬明細書)との情報を繋げば、病院や診療所ごとの医療費の動向までもが掴みやすくなります。また、いま流行(はやり)の匿名のビックデータを活用すれば、国民への医療提供が標準化され、しかも効率化され、医療の無駄が省ける…はずなのです。

    確かにセキュリティの問題はあります。医療情報の取り扱いは慎重であるべきですし、マイナンバーと繋ぐとなればそれなりの堅固なセキュリティが必要だという事は十分承知しています。

    しかしです。施行後一年半が過ぎるというのに、未だに肝心のカードの普及がままならないなんて開いた口が塞がりません。そもそも政府では初年度に3000万枚を配る予定だったのだそうです。でも未だに1300万枚しか配れてないんですって。そんな不手際の原因は、どうやら発行元である「情報システム機構」の大規模なシステム障害にあるらしいのです。一時、新聞にも載りましたから皆さんも覚えていますよね。「情報システム機構」。あまり聞きなれない組織名ですが、役員は相変わらず大部分が旧自治省の出身者で構成されており、職員もいわゆる役所仕事に慣れた人々の集まり(決して誉め言葉ではありませんよ)なのだそうです。で、大規模障害やその後の対応に問題があったとしても誰も驚かないし、ほとんどの国民も無関心。これって良い事なのか悪い事なのか。

    でもね。医療に関していえば、医療の無駄を省く効率化には絶対に必要な制度だと思いますよ。いずれは社保や国保以外にも沢山ある健康保険の統一化を図り、不公平感を払拭する為にも大いに役立つはずですから。

    いずれにしてもこの『マイナンバー』制度。日の目を見るのはいつになるのでしょう。やっぱり「ほんにこの世は儘ならぬ」ですかね。

     

      常務理事・事務局長 瓦井 洋

  • 2017年5月1日 『終末期医療』

    一般的に『終末期医療』と言えば、治る見込みがなく数週間から数か月で「最後の刻(とき)」を迎える患者に対し、延命を目的とした医療を行うことを言います。

    あるアンケート調査によればこの終末期、6割の人が家で迎えたいと願っているそうですが、現実には8割の人が終末期を病院で迎えているのだそうです。そして病院であれば死を迎えるまで治療は続けられるのが普通です。

    これも、ある大学の研究機関のレセプト(診療報酬明細書)集計調査ですが、65歳以上の終末期3か月間の医療費はすでに1兆2000億円を超えている、という報告が出されています。当然、医療費削減に躍起になっている厚労省が黙って見過ごす訳がありません。在宅医療を促進したり入院期間を短縮したりの他に、終末期医療にも手を打ってきています。が、一方で、「高額医療費の大半が終末期の患者で高齢者というのは全くの誤解で削減効果もない」という意見や、「1兆2000億は国民医療費の3.5%で、この中には急性疾患の患者も含まれており、社会保障財政の圧迫にはなっていない」という意見もあります。

    そもそも『終末期医療』とは何なのか。そして『延命治療』とは何を指すのか…。

    当院は、川越・春日部の両病院とも開設当初から「延命を目的とした内科的治療はしない」ということを明言してきました。そしてその理念は十数年経た現在でも変わりはありません。しかしその是非を問われると、とても難しい論争に発展してしまいます。そもそも『終末期医療』には「本人が望む最後を迎えさせたい」という論理面と過剰な延命治療を減らすという財政面の二つがあります。しかも論理面には『肉親の情』という割り切れない問題が絡みますのでなかなか結論は出せないのが現状だろうと思います。

    何年か前に、今の副総理の麻生さんが「いい加減に死にたいと思っても生かされたらかなわない。政府の金でやってもらっていると思うとますます寝覚めが悪い」とやってヒンシュクを買いましたが、実のところこれが「本音」だという意見も多かったように思いますがどうでしょう。

    昔、老人病院のベッドに寝かされている高齢の患者を診ていた医者が、「まるで魚河岸に並んでいるマグロのようだ」と評した言葉が忘れられず、高齢者医療にことごとく反発し今のセントノア病院を創立した私には、麻生さんの本音は、建前論ばかりが優先する国会論争の中で、とても新鮮に聞こえたのは事実です。

    ともかく、当院に入院している患者さんには『人としての終末期を穏やかに過ごす』ことのお手伝いをさせてもらうこと。これが当院の願いです。

     

      常務理事・事務局長 瓦井 洋

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    「病院短信」「イベント」「病院新聞」を更新しました。
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  • 2017年5月1日 (春日部)
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