セントノア病院

こころのこもった医療と介護を実践し、患者様の「安全の場」づくりに全力で取り組んでいます。
川越セントノア病院 春日部セントノア病院
  • 2017年2月1日 『さくら』

    犬と人間の歴史はかなり古いそうで、一説によれば15000年位前まで遡るそうです。その昔、犬は人間の食べ残した動物の肉や骨を食べているうちに、移動する人間たちについていくようになり、やがて行動も共にするようになった、と言われています。

    一方で人間も、たとえ暗闇の中でもその鋭い嗅覚で、接近する他の獣をいち早く察知し、吠えたてる警戒心は大いに役に立ち、共存の道を歩むようになった、というのが通説のようです。この人間と犬の長い長い歴史が、犬が人間の最高の友と言われる所以なのかもしれませんね。

    そんな犬と人間の関係。ワンちゃんはマブダチ、いやファミリーだ!そう思っている人も多いと思いますが、実はワンちゃんも人間の感情をちゃんと理解しているのだ、と科学的に示された研究結果があるのはご存知ですか。

    イエール大学やハンガリー科学アカデミーの研究です。

    それによると、犬と人間には「三つの共通点」があるのだそうです。仲良しには理由があった!という事でしょうか。

    まず一つ目   喜びや悲しみを人間と共有している

    悲しい気持ちでいるときに、犬が傍に寄り添ってくれる。これは本当に私たちを励ましてくれていると考えてよいのではないか。

    そして二つ目  人間をちゃんと信頼している

    犬は恐怖を感じると飼い主に助けを求める習性がある。これは他の動物には見られない。犬にいろいろな人の臭いをかがせたところ、脳の喜びを司る部分は、飼い主の臭いに最も強く反応し活性化した。

    さらに三つ目  人間の脳は犬を家族だと認識している

    被験者の女性に「愛犬の写真」と「自分の子供の写真」を見せたところ、どちらの写真にも脳の同じ部分が活性化。つまり人間の脳は犬も人間の子供も大切な家族の一員として同じように認識しているというわけ。

    さて、当院(春日部セントノア)のセラピー犬『さくら』が、一月十五日、静かに息を引き取りました。十歳と五か月の生涯でした。犬の寿命は意外と短くて、さくらのような大型犬は十歳前後なのだそうです。という事は、さくらも自分の寿命は全うしたことになります。

    さくらにまつわるエピソードは幾つかありますが、その一つを披露します。『さくら』は病院に来る人たちを分別していたようなのです。まず職員には制服であろうと私服であろうと絶対に吠えませんでした。もちろん患者さんにも絶対吠えたりしません。驚いたのはお見舞いに来るご家族には吠えないのに営業や納品に来る業者さんには警戒を見せ吠えるのです。どこでそんな区別ができるのか、一時、院内で話題になったほどです。ともかくとても利口な犬でした。

    『さくら』、私たちの気持ちを穏やかにし、時に癒してくれたことを本当に感謝します。ありがとう。

     

     常務理事・事務局長 瓦井 洋

  • 2017年1月1日 『経済的貧困と心の貧困』

    「正月は 冥土の旅の一里塚 目出度くもあり 目出度くもなし」

    誰の句か忘れましたが、いい年だったのか悪い年だったのか判断のつかない、激動と言ってもいい一年が終わりました。

    昨年は英国がEUを離脱したり、トランプさんが大統領選で勝っちゃったり。そしてこの国では安倍さんの一人パフォーマンスがやたらと目立った年でもありました。例えばトランプさんが勝つとすかさずニューヨークまで飛んで行ったり、プーチンさんと地元の山口で会談したり…。さすが安倍さんって訳でもないのでしょうが、相変わらず安倍さんの支持率が高かったですね。

    それはそうと安倍さんの最大の目玉である『アベノミクス』はどうなったのでしょうね。

    『アベノミクスは道半ばですが、全て順調です』と言われ続けて何年か経ちましたが、昨年もやっぱりその実感はないという人たちで溢れていましたよ。まあ多少の実態はあったのかもしれませんが、安倍さんや政府がいうほど国民生活に変化がなく、ほとんどの国民にその実感が湧かないとすれば、アベノミクスは失敗だったのではないか、と結論付けられても仕方がないのではないですか。

    それどころか私たちにとって問題なのは、私たちの生活に大きな負担がかかる法律がどんどん通ってしまった年になったことなのです。

    まず、年金の支給時期が遅らされ、金額は引き下げられました。医療費は引き上げられ、高齢者の負担がさらに増えました。巷では相変わらず保育所不足に保育士不足。介護離職は増え続け、産休明けや育休明けでの職場復帰もままならない。こんな社会でこんな政策では、実感が湧かないのは当たり前だと思いますよ。それに一方では公務員給与が引き上げられました。この国の企業の九十%以上を占めている中小企業では、汗水流して働く労働者が、給与が上がるどころか雇用不安にさえ悩ませられているというのに…。

    結局のところ多少の増収が見込めたとしても、将来の不安は当然ながら払拭されません。だから無駄な消費はせず貯蓄に回るのです。つまり安倍さんが何を言おうと、この国の人々はこの悪循環から絶対に抜け出すことはできないのです。

    そして格差社会問題。米国では格差社会が問題になっていますが、この国だって負けてはいません。

    つい最近まで、この国では東日本大震災や熊本の大地震にみられるように、困っている人たちに手を差し伸べる、この国の美徳ともいえる助け合いの精神が根付いていました。しかし今では、大震災で避難している子供たちをいじめたり、ゆすったり。子供たちを諫める立場の教師さえ「菌」だなんてあだ名をつける。何かが狂っているとしか思えません。

    景気の上向きを狙うのも結構だけど、ここ数年で失ったものを取り戻すほうがこの社会にはずっと大事だと思います。そうでないと『経済的な貧困』だけでなく『心の貧困』まで生み出してしまう結果となります。

    「安倍政治」が生み出しつつある利己的な「何か」がこれ以上拡大しない年であることを切に願っています。

     

     常務理事・事務局長 瓦井 洋

  • 2016年12月1日 『介護保険の危機』

    ご存知ないとは思いますが、当院は開院後、川越セントノア病院が四年ほど、春日部セントノア病院が一年ほどの間、病院であるにもかかわらず、診療報酬は介護保険を選択していた時期がありました。

    というのも今から十五年ほど前になりますか、私が認知症患者のための専門病院を設立したい、と埼玉県に相談したところ、これまでに病院で全館認知症専門という病院はなく、まだ法律もよく整備されていないということで、設立した後は医療保険ではなく、とりあえず介護保険で開設したらどうか、という話が厚労省からあったからなのです。

    十五年前ですから介護保険もまだ始まったばかり、しかも、まだ介護保険にはいくつかの法律上の不備(この不備は後述します)があると思っていましたから、それに目をつぶって見切り発車をしなければならない理由は何だったのか…。そうなのです。多分その理由は、この国の医療保険制度の財政難にあったと思われます。何しろ未曽有の高齢化に伴い、今や高齢者(七十五歳以上)が使う医療費は医療保険制度を食い尽くす勢いなのですから。

    それほどひっ迫している医療保険。一日も早く介護保険を導入しなければ、医療保険制度そのものが崩壊するかも知れない危機にあったのです。そんな国の事情は私にも十分理解できます。が、しかし不備がある介護保険を選択することには、私としても少なからず抵抗を感じてしまいます。でも、でもですよ、こちらは県や国から開設の許可を頂く立場です。そうしろと言われれば、かしこまって受けざるを得ません。という事で、しばらくの間、介護保険を選択することにしたのです。

    ところが三年も経ったある日のこと、県から介護保険を選択している病院施設という事で、監査があるという通知が来たのです。もちろん当院は監査を受けるような事は何一つしていません。何に対する監査なのかも皆目見当もつきませんでしたが、ともかく監査の当日を迎えました。監査の詳細は省きますが、監査の内容はそれはそれは酷いものでした。席に着くなり『我々はこの病院の監査に来てやっている。正直に包み隠さず話せ』とまるでテレビの刑事ドラマでよく見る取調べ室さながらの威圧的な態度でした。さすがの私も我慢できずに厚労省に直訴。厚労省立ち合いの上での再監査で何とか事は丸く収めてもらいましたけど。

    そんなこんなで介護保険にはほとほと嫌気がさし、翌年には医療保険に切り替えたのです。

    その後は介護保険には特別な興味もなく、両病院を運営してきましたが、先月、安倍さんが政府の未来投資会議で介護保険制度について『介護を必要とする人の自立支援を中心にした制度への転換を進める』と表明したと聞き、この国のトップがこのことに言及したということにまずびっくり。何故ならばこれこそが介護保険の不備だと私が言い続けてきた事項だったからなのです。

    病院や施設の看護師や介護士は、高齢者の衰えた身体機能の回復や向上を目指しながら看護・介護を行っています。しかし現状では身体機能が悪化すればするほど介護度が高くなり、比例して報酬が高くなるシステムです。経営的に考えれば、何もやらせない、何もしないことがいずれ介護度が上がり、一番儲かるということになるのです。これではいくら自立支援をと言っても糠に釘です。

    もう一つあります。介護度を認定するケアマネージャーを病院や施設、介護所から独立させなかったこと。そして病院は別として施設や介護所を民間にも開放したことです。民間企業は利益を上げることを最優先に考えます。儲からなければやりませんし、利益が少なければ少しでも利益を多くしようとし、顧客(この場合は被保険者)を増やそうとします。つまり高齢である被保険者にこれでもかというくらいサービスを勧めます。自立支援の真逆を行くわけです。その昔、病院で医療と称して高齢者に点滴漬け、検査漬けをし、寝たきり老人を作り出していたあの悪夢を思い出してしまいます。

     

    ともかく一国の総理が『介護を必要とする人の自立支援』を言い出したことは、今後の介護保険制度の在り方を大きく変える第一歩となる筈です。惜しむらくはこの言葉を十五年前に聞きたかったですけどね…。

     

     常務理事・事務局長 瓦井 洋


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