春日部セントノア病院

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2015年9月

『ターミナルケアにおける看取り』』

 

ターミナルケアの大切な役割に、「看取り」があります。「自然に」「安らかに」「人間らしく」が、ターミナルケアにおける看取りのキーポイントだと思います。

この看取りのために、キュア(治療)とケアの技術を駆使して、症状のコントロールをします。キュアの面でいえば、栄養補給、薬や酸素の投与、胸腹水の排液、喀痰吸引などの技術があります。全く経口摂取が出来なくなった時、一日五〇〇㎖の補液が、浮腫を生ずることなく倦怠感を軽減するといわれています。苦痛や倦怠感には、モルヒネなどの鎮痛剤とステロイド剤をじょうずに使うことが大切です。

ホスピス医時代に、肺がんが肺全体に転移して、今にも窒息しそうに苦しむうら若い青年に、モルヒネと麻酔薬を静注したことがあります。眠るように亡くなられました。認知症の患者さんは、徐々に衰弱していくことが多いので、あまりモルヒネの適応になることはありません。この十年間で、十人ほどに私は投与しました。患者さんの家族が死を受容できない時は、受容できるよう心理的なフォローをしたり、受容の時を待つこともあります。

看取りの時、ナースが涙ながらに死後の処置をしているのを、当院でよく見受けます。私はそれを見てまた感動するのです。患者さんへのナ―スの強い思い入れに、主治医として感謝するのです。ホスピスでは患者さんが亡くなると、患者さんを囲んで、スタッフや家族が、十五分間ほどのお別れ会をします。これは、グリーフケア(グリーフとは悲嘆の意)の一環として、おこなわれています。当院ではお別れ会はしていませんが、私は、家族の皆さんやスタッフと一緒に、黙祷をささげています。最初の頃は、死亡の宣告をすると、すぐにモニターの片付けや処置の準備をしていましたが、今ではその前に全員で黙祷をささげています。その時私は、「魂は神のもとへ、肉体は大地に帰ります」とお祈りしています。

ホスピス医の平方眞医師はいいます。「緩和ケア病棟(ホスピス)ができる前は、私たち医療者が最善を尽くしてできるだけのことをして看取ったとしても、『あそこの病院はお父さんが最後につらい日々を過ごしたところだから、なかなか足が向かない』と言う家族が多くいました。しかし、緩和ケア病棟ができてからは、患者さんが亡くなって一週間ほどの間に、ほとんどの家族が『お世話になりました』と挨拶に来てくれるようになりました。」

当院でも、家族に感謝される看取りを、これからも目指したいと思っています。

 

副院長 高野 正孝