春日部セントノア病院

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2016年10月

『アルコール健康障害について』

 

最近アルコール依存症の患者さんが何人か入院して認知症の患者さんとは違う対応が求められるようになったので、アルコール依存症について院内の勉強会を持つことになりました。当院は認知症専門病院でアルコール性認知症の患者さんは多数入院していますが、認知症の治療や対応は他の患者さんと変わらず「個性が強い、少し怒りっぽい」「身体疾患が重症である」の違いくらいです。認知症の人はアルコールや煙草などへのこだわりが薄れていてアルコールの無い生活にすぐに馴染みます。アルコール依存症は認知症ではないので、入院の理由となったせん妄(幻覚を伴った意識障害)や身体疾患が回復すると優等生の生活を送りますが、退院すると再飲酒と生活破綻を繰り返す病気です。家族も入院前の苦しみが忘れられず退院を躊躇します。依存症の治療は「本人が病気について正しい知識を持って自らがどう生きていくか」を支援することです。アルコール依存症は治らない病気ではありますが、アルコールを飲まない人生を送ることが出来ることを、患者だけでなく家族も共に理解しなくてはなりません。また退院後も支援が必要となるため、相談機関や支援機関、当事者や家族の自助グループに結び付ける必要があります。

 

日本酒・ビール・ワイン・焼酎などはアルコールを含む飲み物である。アルコールは脳などの中枢神経を抑制(麻酔効果)する依存性の薬物である。初めはストレスや不眠を解決するためにアルコールを飲むことが習慣になる(精神的依存)。アルコールは耐性が出来るので最初の頃の量では酔えず更に飲酒量が増える(身体依存)。体内のアルコール量が減ると手の震えや汗・吐き気などの離脱症状が出現し、その症状解消のために飲む。このように依存が強化されて「アルコール依存症」という病気になる。これは繰り返し飲酒する事で脳に影響して起こった医学的疾患で、誰にでも起こる病気である。アルコールは体の細胞を壊す毒性があるため、肝臓疾患、膵臓疾患、脳・中枢神経疾患、消化器疾患、循環器疾患、骨関節疾患の原因となる。アルコール性認知症は脳細胞が障害を受けて脳萎縮が起こった結果である。またアルコールは心の問題として自己嫌悪、孤独、うつ、自殺などを起こす。社会的な問題としては飲酒運転、事故、犯罪、家庭内暴力、夫婦の不和、子供への影響、職場の能率低下、欠勤などがある。

依存症の治療には専門病院や回復支援施設があり、回復支援プログラムに基づいて行われている。またアルコールを飲まずに共に人生を豊かに送ろうという自助グループが各地で活発に活動しているので、本人だけでなく家族も積極的に参加する必要がある。

アルコール健康障害対策基本法が平成二十五年十二月に成立、翌年六月に施行された。国民の責務として「アルコール健康障害と関連した飲酒運転、暴力、虐待、自殺等に関心と理解を深めアルコール健康障害の予防に努め」、医師等医療関係者は「アルコール健康障害の発生・進行・再発の防止に努め良質で適切な医療を行う」と規定されている。

平成二十八年五月にアルコール健康障害対策推進基本計画が策定され総合的対策が始まる。

 

健康日本21のアルコールの飲酒三原則

@「節度ある適度な飲酒量」は一日純アルコール二十グラムまで。目安としてビール中瓶一本、清酒約一合、焼酎六対四割で約一合。

A三日に一度は休肝日

B食べながら飲む

 

医師  佐々木 昭子