春日部セントノア病院

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2017年9月

『拝啓、日野原重明様』

去る7月18日、日野原重明さんが105歳の長寿で他界されました。

日野原さんはご存じの方も多いと思いますが、日本で最も名の知れた医師であり医学博士、聖路加国際病院名誉院長、上智大学日本グリーフケア研究所名誉所長、その他多くの肩書きを持ち、勲二等瑞宝章、文化勲章を受賞、日本ユニセフ協会の大使も務められた方です。しかし、こんな肩書きよりも現在の医療体制の礎を築いた方といっても過言ではありません。

1940年代に医師となり東京大空襲で多くの被災者の治療にあたり、人間ドックの導入や「成人病」に代わる「生活習慣病」という言葉を提言しました。1970年にはよど号ハイジャック事件の人質となりましたが無事生還、「この時ほど命の重さを実感した事はない」と機会がある度に話されていました。1994年に東京大地震を想定して聖路加病院のあらゆるところに酸素パイプを張り巡らしましたが、奇しくも翌年に地下鉄サリン事件が発生。この準備のおかげで多くの患者さんの治療に対処できたとのことです。医師であり作家でもある海堂尊氏の映画「ジェネラルルージュの凱旋」で描かれるクライマックスシーン。何もなかった病院のあちこちの場所から、ストレッチャーや酸素管が出てきてあっという間に治療の場と化する様子はこれを表現したのではないかと個人的に思っています。

私は看護学校時代、学校の図書館で日野原さんの多くの著書に出会いました。大変感銘を受け、すぐに本屋に注文しましたが、その多くがすでに廃版となっていました。今でも大変残念に思っていますが、拝読出来た幸運には感謝しています。

日野原さんには数々の名言があります。その中からいくつかご紹介します。

「体は命の器である。常にきれいな水で満たしておきなさい。そして、命は誰かの為に使いなさい」

医療人であれば身体は単純に生物学的なものと見がちですが、「命の器」という表現が素直に心に響きました。確かに人により器は色や形などがいろいろで、決して健康で立派な器ばかりではありません。怪我や病気などで隙間が多くなれば命は抜けていってしまうでしょう。

当院の患者さんも器の形が認知症という部分では他の方と違っていると思いますが、命をしっかりと満たし誰かの為に生きようとしている姿に変わりはありません。おしぼりたたみなどをお願いし「助かります。」と伝えると「そう言ってもらうと嬉しいわ」という言葉が返ってきます。私達もその言葉が何より嬉しいのです。最期まで「あなたが居て嬉しい」というケアを目指していきたいと思っています。

また、なんにでも興味を持ち前向きな日野原さんらしい言葉があります。

「年をとることそれ自体が未知の世界に一歩ずつ足を踏み入れていく事。こんな楽しい冒険は無い」

ひょっとすると亡くなるその最期の一呼吸までも楽しみ、もしかしてその先も…?

「いつまでも現役!」そんな日野原さんの「生き方上手」に敬愛と感謝を込めて合掌です。

 

2病棟看護師長  船津 栄