春日部セントノア病院

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2009年2月

パーソンセンタードケア
昨年の2月、「病院の質の向上に努めよう」という話を私はしました。
この3年間、私は患者さんのQOL(生活の質)の向上をはかるために役立つものがないか、学習療法を始めとしてさまざまなQOL評価法など、自分流にいろいろと試してみました。ところが、残念ながらいまだ見つけられずにいました。
当院の看護職員は勉強熱心です。私が帰る時、駐車場に車がいっぱい並んでいるのを見ては、今日も勉強会をやっているなあと感心しながら帰ります。最近ナースから教わりました。パーソンセンタードケアということばです。
パーソンセンタードケアは、イギリスのブラッドフォード大学のトム・キットウッド教授が提唱した、認知症患者さんの尊厳を守るケアの方法です。パーソンセンタードケア(その人を中心としたケア)の基本は、認知症の患者さんは認知障害を患った一人の人間であり、それはガンや糖尿病などの患者さんと全く同じ、一人の人間に変わりはないというものです。現代社会は知的機能が重視される社会ですから、知的障害があれば極度に劣った人間として評価されてしまい、一人の人格として認められないことさえ起きかねません。
本にその象徴的な事柄が記されています。一般の診療では認知症の患者さんは、いろいろな話し合いの場からはカヤの外に置かれます。本人には理解できないからという理由からです。それは確かかも知れません。しかし、パーソンセンタードケアでは、あえて患者さんをその中に入れて話をするのです。そこには一人の人間として応対しようという姿勢が出ています。「目からウロコですね」とナースに言われました。その通りです。やっと役に立つものに出会えた思いです。
本を読んでみますとその内容はなかなかハイレベルのものですが、基本は、やろうとさえ思えば今すぐにでも実践できるものです。パーソンセンタードという意味は、プロブレムセンタード(問題中心)と対比して使われています。徘徊を例にとってみますと、プロブレムセンタードでは徘徊を問題行動としてとらえます。パーソンセンタードケアの考え方では、患者さんの不安の表現だと見るのです。両者の考え方は一見すると似ていますが、どこに焦点をあてるかという点では大きく違っています。このパーソンセンタードケアの考え方が、認知症ケアの質の向上に大いなる貢献をしてくれるものと期待し、私は自分流に実践しようと思っています。

 

副院長 野 正孝