春日部セントノア病院

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2010年2月

ターミナルケアを考える

人間の終末期におけるケアを表現する言葉に、ターミナルケア、ホスピスケア、緩和ケアという言葉があります。言葉のもつ歴史と使われ方に微妙な違いがありますが、ほぼ同じ目的と内容を意味しています。これらのケアは、がん患者が主な対象となりますので、終末期という言葉には、余命わずかというニュアンスが含まれています。厚労省の定義では、余命がおおむね6カ月と見込まれる時を、終末期といっています。一方認知症の場合、余命は十人十色ですから、余命わずかというニュアンスのターミナルという言葉は、認知症の場合はより厳密に使うべきです。
三宅貴夫医師の論文では、認知症患者のターミナルとは、第1にコミニュケーションがまったく成立しなくなったとき、第2に食事の経口摂取がまったくできなくなった時と定義しています。従って認知症の場合は、通常のケアは緩和ケアもしくはホスピスケアといい、三宅医師定義の2条件を満たしたときにターミナルケアといって、言葉を区別して使うべきと考えられます。
【認知症の緩和ケア】
緩和ケアの三原則は、@本人の意思と尊厳を大切にすること、A苦痛などの症状をコントロールすること、BQOL(生活の質)を大切にすること、があげられます。(詳細は*を参照ください)
【認知症のターミナルケア】
認知症患者のターミナルとは、前述の通り、コミュニケーションがまったく成立しなくなったとき、および、食事の経口摂取がまったくできなくなった時をいいます。認知症のターミナルケアでも症状コントロールが必須です。終末期にあるため、痛みや呼吸苦などさまざまな苦痛は生じえます。その苦痛を極力取り除く処置が必要になります。
次に、経口摂取がまったく出来なくなったときには、選択肢は3通りあります。
まず、胃瘻造設(PEG)があります。長期的に経口摂取が出来なくなれば、今では胃瘻造設は内視鏡的に比較的簡単にできますので、通常の医療ではほとんど自動的に行われます。
2番目は、静脈注射で栄養を補給する方法です。
3番目が、介助による経口摂取を極力試みながら、自然の経過を看守ることです。
PEGは、治ることが見込まれる時や、局所的な障害(例えば脳梗塞を起こして局所的に嚥下が障害されたとき)には、大変有効な手段です。しかし、認知症のターミナルの時は、脳機能障害が極度に進行した状態ですから、植物状態に近い状態になります。それにPEGを造設することが、適切かどうかは慎重に検討しなければなりません。
意思の疎通もなく、経口摂取もできない認知症のターミナルステージでは、なるべく自然なかたちでその生命力をサポートすることが良いと考えます。医療行為は最低限にして、生命力が自然と枯れていくのを看守るのです。
(*ホスピスと認知症http://www5.airnet.ne.jp/shimin/sub400-ninti.htm

 

副院長 野 正孝