春日部セントノア病院

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2011年6月

『バスに揺られて』
4月のお花見に続き、5月には各病棟でのバスハイクが実施されました。患者さんには季節を感じて頂く貴重な一日ではないでしょうか。何となく不安げな表情でバスに乗り込んだ患者さん達でしたが、暫くすると車窓は一面に広がった水田へと変わり、「私も農家をしていたんですよ。田んぼも10枚あってね」と隣の患者さんが活き活きと笑顔で語ってくれました。
ほどなくバスは公園に到着。その後ゆっくりと散策し、ヤギやウサギには千切ったキャベツをごく自然にあげていました。「可愛いわね」「ずいぶん太った豚ね」「あら、こっちにも小さなウサギがいるわよ」と元気な会話があちらこちらで飛び交っていました。あいにく途中で小雨となり、バスの中でおやつを食べて頂いた事もありましたが、普段食べないようなオヤツもすました顔でほおばっていたり…。いつもと違う患者さんの様子がたくさん見られました。また、外出する機会の少ない患者さんにとっては、色とりどりの草花・土の匂い・風・雨を肌で感じ、懐かしさを感じて頂けたのではないでしょうか。
帰り道、バスで揺られながら、今は亡き両親の介護のために、毎週新宿発高速バスに約2時間乗って、山梨の実家に通っていた事を思い出していました。認知症の父は、毎日のように手帳がなくなったと探したり、夜中に家から飛び出し転倒して骨折したり、風呂に入るのを嫌がり、怒鳴られながら入浴させたり。ある日、私の家で泊まった帰り、実家に送っていくために、駅で切符を買って後ろを振り向くと父の姿はありませんでした。どうやら一人で電車に乗ってしまったらしいのです。駅員さんに事情を話し、母に連絡した後、私は家で待機。夕方母から「今帰ってきた」と電話がありましたが、どうやって父が帰ったのか聞いても分かりませんでした。その後、父は2年後に肺炎で、母はその5年後に他界しました。当時は認知症の父にどう関わって良いのか分からず、ゆっくり話を聞いてあげなかったように思います。
認知症の人は著しい記憶・判断力の障害のために、物事をスムーズに処理する事が出来なくなります。認知障害の現れは一人ひとり異なり、障害の特徴や進行の程度も様々です。父との関わりを思い出し、患者さんの発する言葉・言動をよく観察し、何を伝えたいのかを看護・介護に反映させることで、その人らしい穏やかな生活が送って頂けるように努力していきたいと思います。

 

1病棟看護師長 大元 勝恵