春日部セントノア病院

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2013年12月

『家庭医制度が医療を変える』

日本の医療費総額は毎年1兆円以上ずつ増え続け平成23年度で37兆8千億円、前年より1兆1千億円の増加です。このままでは医療崩壊は免れない。そこで、最近注目されている医療費大幅削減の切り札、家庭医制度を取り入れた抜本改革案について調べてみました。い平成23年10月厚労省は海外で家庭医と呼ばれる専門医を日本では「総合診療専門医」と呼び、その育成を決めた。家庭医療先進国である英、オランダ、オーストラリア、カナダ等では家庭医がプライマリ・ケア(一次ケア=日常的な病気やけがを診る)を担当する。プライマリ・ケア先進国では医学部卒業時点で、病院での二次ケア(専門医の診療又は入院を伴う医療)・三次ケア(二次医療では対処できない高度先進医療)の担当医と地域の一次ケア担当医に分かれ、各々専門医としての訓練を受ける。家庭医と他科専門医は競い合うのではなく相互に補い合う。プライマリ・ケアが発達している国々では全医師数の3割〜5割が家庭医だ。家庭医一人に住民約2千人が登録するが、住民は自由に自分の家庭医を選ぶ。(日本の場合、医師総数は約29万人なので2割強必要な計算になる)各地域には日本の診療所の3〜4倍の広さの家庭医診療所があり、5〜8人の家庭医がグループで診る。住民は家庭医に登録し、まず一次ケアを受け、必要なら二次または三次ケアに回される。救急の場合には直接二次、三次に行くこともある。家庭医はよくある問題の8割を診るといわれるが、平成19年の資料によるとオランダでは医療全体の93%に家庭医が対応し、平成23年には95%に達したという。しかも、そこで使われる医療費は国全体のわずか7%。つまり、残り5%の各科専門医が対応する医療に総医療費の93%が使われている。例えば、家庭医の段階で糖尿病患者・予備群の血糖値を改善すれば脳血管障害・心筋梗塞等の心疾患・腎不全による透析等が減る。地域住民は全員どこかの家庭医に登録するから、どの地域で高血圧や糖尿病・心疾患・脳血管障害・ガン等がどのくらい発症したかデータが蓄積され、その後の治療・予防に活かされる。では、開業医・かかりつけ医と家庭医とではどこが違うのか?日本では大学や関連病院で専門医として約10年以上働いた後、開業する。内科専門医であれば内科全般をみるが、整形外科・外科・耳鼻科や眼科などでは専門関係を診るだけである。家庭医は診療科を問わず、どのような問題も診察する。包丁で手を切ったとか、眼にゴミが入って角膜が傷ついたといった場合の対応、婦人科の診察や妊婦検診、うつ病などの心のケアやカウンセリングも行う。子供も診る。肩の脱臼を整復することもあるそうだ。大学には家庭医療学の講座があり家庭医専門医の資格は他科の専門医資格と同レベルの厳しい訓練を要する。開業医より守備範囲がはるかに広く、1年や2年の研修でこなせるレベルではない。要するに、医療を単純に3段階に分け、各々別の施設で別の医者が診るという非常に効率的な医療です。住民は誰でも必要な時に主治医を持つ。初期のムダな検査・治療が避けられ、患者情報は共有でき、専門医や大学病院は各々専門分野に集中できる。三次ケアは大学病院等が担うので、二次ケア担当の中小病院や専門医の協力体制と配置を工夫すれば、医師の偏在や医療過疎はなくなり医師不足も解消され全国どこでも一定水準の医療が可能になり、患者も安心できます。しかも医療費の大幅削減が期待できる。現在の日本の混乱した医療を交通整理するようなもので、十分検討に値する案でしょう。厚労省は賛成するはずですから大学病院・医師会・市中病院が決断すれば実現可能です。医療の公共性・公平性・生命の平等さ・社会奉仕的意義を考えても妥当な方法と言えます。将来、当院でも地域の家庭医からも紹介患者を迎える時代が来るかもしれませんね。

医師 沢田 實